奨学金の滞納と時効について

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女子大生

突然ですが近年、奨学金滞納者が右肩上がりで増えています。

かつて奨学金は、経済的に恵まれない学生のための頼みの綱でしたが、最近では、大学へ進学する半数以上が奨学金を借り入れているという現実があります。

実際に、奨学金を利用して学校を卒業した、という人は少なくないはずです。

その奨学金は、例外を除けば、卒業後社会に出てから分割返済しなければなりません。
ところが、返済滞納者が後を絶たないという現実があります。

これはやはり、2000年以降続いてきた日本経済のデフレ不況が最大の原因だと考えられます。
デフレ不況下では企業が雇用を収縮したため、せっかく大学や専門学校を卒業しても就職先がなかったり、苦労して就職先を見つけてもリストラや倒産などで職を失い、その結果学生時代に利用した奨学金の返済に困って延滞してしまう人が増加しました。

その後、景気回復が叫ばれても、企業側の雇用体系が変化したことなども手伝ってか、奨学金の滞納者数増加にブレーキがかかりません。

 

↓奨学金の滞納に関する相談はこちら↓

 

給付型奨学金について

一億総活躍プランを語る安倍首相

給付型奨学金とは、その名の通り返済が不要な奨学金制度です。
今も、給付型奨学金を独自に運営している大学や民間団体はありますが、現状、日本の奨学金のほとんどは返済が必要な貸与型奨学金という実情があります。

これを受けて国は、低所得世帯の学生が学業に専念できる環境を整備しようと、2013年から文部科学省が給付型奨学金の導入を検討を開始しました。
当初、早ければ2014年度から導入される見通しとされていましたが、その後の経済情勢や政局などの影響で、2016年7月現在、実現に至っていません。

実は、給付型奨学金をめぐっては、経済格差の解消に向けて、継続して与野党問わず実現を求める声が相次いでおり、首相は3月の記者会見でも創設を表明した経緯があります。
そして、政府が6月に決定した「ニッポン1億総活躍プラン」にも検討方針が盛り込まれましたが、そこには具体的な創設時期は明示されていなかったのです。

2016年7月11日、安倍晋三首相は、第24回参議院選挙の結果を受けて記者会見し、「未来への投資」をキーワードに給付型奨学金の具体的な検討について言及しました。
学生の奨学金については、「学びたいという意欲を持つすべての学生が、無利子の奨学金を受けられる」ようにするとし、さらに給付型の奨学金についても具体的な検討を進めていくことを明言。
さらに、別のコメントで2017年度に導入する方針を明らかにしました。
首相が創設時期を示したのは初めてのことで、おそらくこれで来年度からの実現は間違いないと思われます。

追記

2016年12月に文部科学省から、「平成29年度より一部実施、平成30年度から本格実施」との発表がありました。詳細はこちらを参照してください。

 

奨学金滞納は金融事故

今後は、給付型奨学金が広く普及することに期待するところですが、これまで貸与された人にとっては、残念ながら関係のない話です。
なぜなら、従来の貸与型奨学金の返済が免除されることはありませんので・・・。

ここで現状を見てみると、少々古いデータですが、2007年度末時点で奨学金滞納額は660億円以上と言いますから、かなりの滞納額があるのは事実です。

実際、貸与者からの返済金が次の世代の奨学金の原資として活用されているため、滞納額の増加は奨学金事業そのものを崩壊させることになりかねない、という視点で見れば奨学金の回収は急がれるべきでしょう。

そのような背景からか、従前、日本育英会によって運営されていた奨学金事業が、2004年に(独法)日本学生支援機構に受け継がれたときから、延滞者に対して一般の金融債権同様の厳しい督促がとられるようになりました。

ただし、奨学金を延滞しても消費者金融のように延滞初日から怒涛の督促電話がかかってくることはありません。
というわけで、ついつい奨学金の滞納を甘く見てる人が多いようです。

 

奨学金の返済を滞納すると保証人に迷惑がかかる!

息子が奨学金を返還しておらず「延滞分を一括で支弘え」と言われて困っているなど、奨学金の保証人になっている親・親戚からの相談が急増しているそうです。

現在、日本学生支援機構では、原則4ヶ月以上延滞した案件について債権回収会社に督促を委託してており、滞納が9ヶ月を過ぎると保証人に対して支払い督促申し立ての予告書が発送されます。

そうなると、親や親戚にとっては寝耳に水?!降って沸いたように数百万円の借金ができてしまうのですから悲鳴があがるのは当然でしょう。

いまや奨学金は、ある意味一般の人にもっとも身近な借金問題になりうる爆弾ということなのかもしれません。

 

悪質滞納者はブラックリスト入り!

現在、奨学金事業を運営としている(独法) 日本学生支援機構は、2008年から個人信用情報機関に加盟しており、奨学金の返済を延滞するとクレジットカードやカードローンなどと同じように金融事故情報に登録、つまり俗に言うブラックリスト入りしてしまいます。
現状では、3ヶ月以上の延滞が続いた場合に個人信用情報に登録されてしまうので十分注意が必要です。

「滞納者」と聞くと、「ワザと返済しない人」と考えるかもしれませんが、それだけではありません。

たとえば、学校を卒業して社会人になり、引っ越しをして返済口座を変更したときに手続きするのを忘れていたら、しばらく引き落としがされていなかった、ということもおき得るでしょう。
また、銀行残高が不足していたというケースも考えられます。

そういったケースや残高不足の「うっかり延滞」なども、お金がなくて「払えない延滞」も信用情報上は同じようにただの「延滞記録」となってしまうので注意が必要です。

一度ブラックリスト入りしてしまえば、その後あわてて返済しても後の祭り。
奨学金を延滞したという情報は、完済したあと最低5年間は消えません。

加えて、銀行によっては住宅ローンの申し込みに際して、信用情報機関の照会以外に自行の取引履歴もチェックします。
そのような場合、信用情報は5年間分の記録チェックですが、自行の取引履歴は5年以上遡って見られることも多いです。

そういったことを考慮すると、一度信用情報にキズがつくと、いつ回復できるのかハッキリわからない状況になりかねません。

さらに、その先も延滞を続ければ、その債権は債権回収代行会社に債権譲渡され、そうなるとより強力な督促がかかることになり、最終的には裁判所に支払いの申し立てを立てられて強制執行(差し押え)という判決が下されます。
そうなると、給料を差し押さえられるだけでなく、必然的に勤務先にも滞納の事実が知られることになってしまいます。

繰り返しになりますが、金融事故情報に登録されている状態では新たなローンを組むことはできません。
これは住宅ローンにも該当しますので、そうなると将来マイホームを購入する際困ることになる可能性だってあるのです。

 

奨学金の返還期間は変更するができる

どうしても予定通りに返済ができないという場合には、救済制度の活用を検討しましょう。

利用できる機構の救済制度には、

  • 返還期限の猶予:給与所得者が年収300万円以下など経済的困難が理由で返還できないという場合、最大10年間、返還を一時的に中止できます。
  • 減額返還:災害・傷病・経済的困難で返還できない場合に、最長10年間に渡って毎月の返還額を1/2に減額できます。ただし、過去に延滞がある場合、延滞分の元金・利息・延滞金すべてを支払ってからでないと利用できません。
  • 延滞金の減免:返還が滞った場合にかかる年10% (2014年4月以降のものは年5%)の延滞金を減免できる制度。ただし、利用条件は非常に厳しい。

などがあります。初めに検討すべき措置は、返還を一時的に中止できる返還期限の猶予や毎月の返還額を半減(1/2)できる減額返還でしょう。

ただ現実には、個々の事情でそれらによっても解決できないケースがすくなくありません。

そういう場合には、法律で定められた個人再生で返還計画を立て直したり、自己破産で債務を一掃し人生そのものを立て直すなど、法的整理で解決できるということも知っておきましょう。

いずれにしても、日本学生支援機構との交渉は1人では無理です。悩んだらすぐに専門家や相談機関を利用してください。

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ネットで無料で利用できる借金減額シミュレーターで、借金を減らす手続きをしてくれる相談所や法律事務所がみつかります。

 

奨学金にも時効がある!

これまでお伝えしたことからもわかると思いますが、奨学金はキャッシングやカードローンなどと同じ一般債権(債務)です。
なので、実は時効があります。

奨学金の時効は消滅時効で、その時効期間は原則10年です。

つまり、実際に返済期日から10年以上経過しているのなら時効の援用により時効が完成します。
※時効の援用とは、借り手が貸し手に対して、時効の権利を主張すること。

ただし、現状では奨学金の延滞について債務名義を取られますので、10年で時効が完成するケースは稀でしょう。

債務名義とは、債権者に対して与えられる、執行機関の強制執行によって実現されるべき債権の存在および範囲を公的に証明する文書を意味する。
強制執行は、執行機関が独自に可能か判断して行うのではなく債務名義に基づいて行うため、強制執行をするためには債権者は債務名義を得る必要がある。

弁護士ドットコムより引用

つまり、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書のことで、奨学金延滞のケースでは下記のいずれかが考えられます。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言付判決
  • 仮執行宣言付支払督促
  • 和解調書・調停調書

確定判決とは

通常、地方裁判所に訴えをおこして判決を受け、それに不服があれば高等裁判所に上訴(控訴)できますが、確定判決とは、確定の効力を有した判決のことを差し、上訴裁判所による取り消しの余地がなくなった判決、つまり上訴ができなくなった判決のことです。

仮執行宣言付判決とは

本来、判決は、確定した後に執行力が発生します。
仮執行宣言とは、財産権上の請求権における判決で、確定前であってもその判決に基づいて、仮に強制執行をすることができる旨の宣言(裁判)です。つまり、判決が確定していなくても、債権者は強制執行できることになります。

仮執行宣言付支払い督促とは

支払い督促とは、申立人の言いなりに簡易裁判所の書記官が「支払え」と命じる書類を送り付ける手続きです。
その際、申立人は債権の証拠書類の提出は必要ありません。
そして、債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときには、「債務者が債務の存在を認めた」ものとして、仮執行宣言が付されるという制度です。

和解調書・調停調書とは

和解または調停によって、お互いの合意が成立したことを記録した調書のことです。
両方ともに判決と同じ効力があります。

上記いずれかの債務名義を取られると、取られてから10年経過後に時効期間を迎えることになります。
さらに、借り入れた奨学金の元々の返済期間の設定によっても、時効の完成時期が左右されますので、そうなると素人が自己の奨学金の時効について調べたり判断することは困難、というより不可能と言っても過言ではないかもしれません。

絶対に忘れてはいけないポイントは、日本学生支援機構や裁判所側から消滅時効のことを教えてくれることは絶対にないということ。
それどころか、支援機構側は時効期間が過ぎた債権にさえ、延滞金を上乗せして請求してきます。

消滅時効はあくまでも債務者側の主張がなければ完成しません。
なので、時効を迎えた債務(借金)について、債権者に対して「この債務は時効です」と通知しなければなりません。
時効を主張することを援用といい、時効の援用は法律で認められた正当な権利です。

ただし、消滅時効の成立にはいくつかの条件があり、援用の仕方を間違えると、せっかく成立しかかっていた時効がパーになってしまうことも?!
そうならないためには、専門家に相談して正しい判断に基づいて進めることが大切です。

時効期間が気になっている、あるいは督促状や通知が届いたら、迷わず法律・法務の専門家に相談してください。
アヴァンス行政書士法人では、24時間・完全無料で消滅時効に関する相談を受け付けていますので、ご利用をおすすめします。

アヴァンス行政書士法人

 

奨学金破産の現状

2018年2月12日付の朝日新聞DIGITALによると、

国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。奨学金制度を担う日本学生支援機構などが初めて朝日新聞に明らかにした。無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。

とのこと。

前述したとおり、進学時に奨学金を貸与している(独法)日本学生支援機構は2004年度に日本育英会から改組した独立行政法人です。

借入人は学生本人で、貸与時に担保や審査は必要ないこと、また卒業から20年以内に分割で返済が可能なことなど、比較的返済条件が穏やかなことから、貸与を受ける学生は増えています。

ただし、借り入れ時には父母どちらかの連帯保証と4親等以内の身内を保証人として立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選ぶ必要があります。

機関保証を選ぶと、支給される奨学金から保証料が差し引かれることもあり、身内の連帯保証を受けるケースが少なくないという実情があります。

機構などの調査によると、2016年までの5年間での奨学金にからむ自己破産は、延べ1万5,338人で、その内訳は、

  • 本人:8,108人(保証機関分475人含む)
  • 連帯保証人・保証人:合計7,230人

となっています。

つまりこの5年間は、奨学金関連の自己破産者数が毎年3,000人強となっているということです。

このことは、このところ国内の自己破産者数が減っていることを考えれば問題視されるべきかもしれません。ちなみに、2016年度単年では3,451人と5年前より13%UPしていることをみても問題は大きいと感じざるを得ません。

ここで改めて、自己破産について簡単に説明すると、自己破産とは、借金を返せる見込みがないと裁判所に認められれば、税金を除くすべての債務(返済)を免れる手続きです。

免責される代わりに、必要最小限のものを除いた財産は処分され、また、住所・氏名が官報に掲載され公告されます。

さらに、破産後一定期間は、新規の借り入れやローンが制限されるなどの不利益もあります。

しかし、冷静に考えれば、

  • 生活に必要なモノは手放す必要がないこと
  • 官報公告などは一般的に目にされるものではないこと

は、それほどの支障にはなり得ず、また、一度借り入れに苦しんだ反省を生かせば、5~10年程度現金生活を心がけることも当然だと思えるのではないでしょうか。

もちろん、貸与を受けたものを返済するということは大原則ですが、本人だけでなく親族まで借金で苦しみ続けることを考えれば、自己破産の道を検討することも視野に入れておくべきでしょう。

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